総合診療科の紹介
患者様の「代理人」として
総合診療科は、患者様の代理人として、健康および生活の質の向上を目指し、幅広い症状や複雑な問題を抱えている患者様の受け皿として対応する科です。私たちは、患者様のご要望やニーズを理解し、適切な治療方針を策定するために、専門診療科から助言を受けながら総合的な診療を提供します。多職種の医療チームと連携し、患者様の身体全体を見渡した包括的なケアを実現しています。総合診療科は、患者様の生活を支え、最善の医療を提供するために尽力しています。
チーム医療のファシリテーターとして
総合診療科は、患者様が最適な医療を受けられるよう、多職種の医療チームとの連携を促進し、治療が円滑に進むよう支援する役割を担っています。「ファシリテーター」とは、日本語で「進行役」や「促進者」を意味し、チームやグループが協力し合い、目標に向かって効率的に進むための調整を行う存在です。
チーム医療のファシリテーターとしての総合診療科は、栄養サポート、抗菌薬の適正使用、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)など、患者様の治療において重要な分野を見守りながら、専門診療科からの助言を受けつつ、包括的なケアを提供します。各専門職の意見を調整し、患者様一人ひとりに合った最適な治療方針を策定することが主な役割です。
この役割を通じて、医療の質と安全性を高め、患者様にとって信頼できる医療環境を提供することを目指しています。私たちは、医療チームの連携をサポートし、患者様の健康と生活の質の向上に貢献していきます。
ごあいさつ
私は2011年より当地域において小児外科医として臨床に従事して参りました。私が小児外科医として総合診療科を立ち上げたのは、2020年に始まったコロナ禍を通して新型コロナウイルスに罹患した多くの患者様の診療に携わる中で、小児外科と総合診療科の間に、医療に対する根本的なアプローチに多くの共通点を感じたからです。医師としてキャリアをスタートさせた後、大学病院で小児外科に主に携わり、子ども一人ひとりの成長過程や家族全体を見据えた全人的な医療の重要性を実感してきました。さらに、地域医療においては、外科医としても携わるようにもなり、0歳から100歳以上の多様な患者様を診療する中で、包括的な視点でのケアが求められることを強く感じました。
小児外科では、複雑な病態や合併症を抱える患者が多く、単一の診療科では対応しきれないケースも頻繁に見られました。外科的な治療だけではなく、多職種や他の専門科と、何よりもご家族との連携が欠かせないという現実を経験し、総合診療科を立ち上げ、患者全体を見据えた包括的な医療を提供する必要性を痛感しました。総合診療科が、患者の全体像をしっかりと把握しながら、適切な専門的治療へと導く場になるべきと考えました。
また、小児外科医としての経験から、外科的治療に加えて、長期的なフォローアップ、予防医療、さらには家族全体を支える医療の重要性を強く感じてきました。これは、総合診療科が目指す、患者の生活全般を見据えた長期的な健康サポートと非常に共通しています。地域医療での外科的診療経験も活かし、幅広い視点から医療の質を高めるために、総合診療科が重要な役割を果たすと確信しています。
こうした背景から、私は総合診療科を立ち上げ、全人的なアプローチと多職種連携を推進し続けています。小児外科と総合診療科が共有する理念のもと、患者様に最善の医療を提供することを目指しています。
担当医師
副院長 / 総合診療科
李 慶徳 り きょんど
出身大学 | 弘前大学医学部 2003年 |
経歴 | 2023年 TMGあさか医療センター 副院長 |
資格等 | 日本病院総合診療医学会認定医(外科系General Hospitalist) ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター 日本専門医機構 総合診療専門研修 特任指導医 日本小児外科学会小児外科 専門医・指導医 日本外科学会専門医・指導医 日本小児泌尿器科学会認定医 医学博士 |
診療内容
TMGあさか地域包括ケア・ACPプログラム
当院では「TMGあさか地域包括ケア・ACPプログラム」(仮称)を立ち上げ、地域の高齢者の皆様に対する医療・ケアの充実を図ることとなりました。より適切な医療を提供するために、地域の訪問診療所と提携し、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)に基づく包括的なケアシステムを構築する運びとなりました。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは?
人生の最終段階における医療・ケアについて、医療従事者から適切な情報提供と説明がなされたうえで、本人による意思決定を基本に、医療・ケアチームとの信頼関係を構築しながら、多専門職種から構成される医療・ケアチームで医療とケアを提供するプログラムです。
本プログラムでは以下の取り組みを実施いたします。
- ACPの推進と実施
高齢者の皆様が自分の価値観や希望に基づいた医療・ケアを受けられるよう、ACPを推進し、医療・介護の選択肢を話し合い、意思を共有化します。 - 訪問診療所との連携
地域の代表的な訪問診療所と連携を強化し、在宅医療と病院での治療がシームレスに行われるようにいたします。 - 包括的な地域ケアの提供
当院で提供する在宅医療、訪問介護、生活支援サービスを総合診療科にて一本化し、高齢者の皆様が住み慣れた地域で安心して生活できる環境を整えます。 - 医療・介護の情報共有
カンファレンスを開催しACPの内容や患者様の状況を医療機関間で共有することで、連携を強化します。
私たちは、この新たなプログラムを通じて、地域の高齢者の皆様がより良い生活を送れるよう尽力してまいります。今後とも、皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
入院によるボツリヌス療法 (痙縮治療)
脳卒中後遺症には痙縮 (けいしゅく) という症状があります。
筋肉が過度に緊張し手足が動かしにくかったり、着衣や歩行など日常の動作に支障をきたしてしまいます。
ボツリヌス療法では筋肉を緊張させている神経の働きを抑える「ボツリヌストキシン」というお薬を注射し、筋肉の緊張を緩和します。痛みの軽減や動作の改善が期待でき、特に脳卒中や脳性麻痺などの疾患による痙縮の治療に有効です。治療効果は数か月続き、定期的な注射が必要な場合があります。
※適応疾患:痙縮(脳卒中後、脳性麻痺)
このようなことでお困りではありませんか?
ボツリヌス療法の効果
下記の効果が期待されます。
- 手足の筋肉が柔らかくなり、動作が改善され日常生活が行いやすくなる
- 手足のつっぱりによる痛みが緩和され、リハビリが行いやすくななる
- 痙縮による圧迫の軽減により、褥瘡や皮膚トラブルのリスクが減少
- 関節が固まるのを防ぐ
- 動かしやすさに伴い、更衣やオムツ交換等の介助負担が軽減
入院プログラムの日程(初回入院・具体例)
※ 2回目以降は3泊4日入院で行うプログラムも用意しております。
長期在宅中心静脈栄養患者様向け入院プログラム
目的
在宅中心静脈栄養を長期間受けている患者様に対し、包括的な入院ケアを提供します。本プログラムでは、栄養状態の詳細な把握、個別化された栄養治療、さらにカテーテル関連血流感染症を予防するためのエタノールロック療法を行います。
入院プログラムの例(初回入院・7日間)
フォローアッププログラム(2回目以降・3泊4日)
入院までの流れ
- 地域医療連携課までご連絡ください。診療情報提供書をFAXしてください。
TEL:0570-07-2055(ナビダイヤル④番)
FAX:048-497-5594(直通) - 診療情報を受領次第、入院日を調整いたします。外来を経由せずに直接入院が可能です。
慢性便秘入院プログラム・脊髄疾患に対する在宅自己洗腸指導
coming soon
前皮神経絞扼症候群の手術
前皮神経絞扼症候群 (ACNES) 入院パス
ACNESの手術療法で、ただ単に原因皮神経を切除するのみでは治療効果として不十分で再発の原因となり得ます。
なぜならば、原因皮神経は、鋭い疼痛を誘発すると同時に周囲腹直筋にも影響を与え、周囲筋組織の拘縮が起こり、周囲筋組織が別の鈍い慢性的な腹痛を誘発しているからです。
手術の前後に十分な時間を設けて、原因皮神経の正確な特定と、術後の周囲筋組織の拘縮を解除することでACNESの治療を完遂することが可能となります。
当院では2週間のリハビリを併用した手術療法のプログラムを設けています。
術前に画像的検索および理学療法士によるリハビリを受けながら原因皮神経を特定します。術後は周囲筋組織の拘縮を解除するリハビリを集中的に受けていただき、退院後の日常生活で注意するべきことを学んでいただきます。 このような十分な治療期間を設けることで、遠方からお越しの患者様にも安心して退院していただくことを目標としています。
入院までの流れ
- 地域医療連携課までご連絡ください。診療情報提供書をFAXしてください。
TEL:0570-07-2055(ナビダイヤル④番)
FAX:048-497-5594(直通) - 調整のうえ入院日を決定し、外来を通ることなく直接入院していただきます。